感謝の心と住まいの美意識
兵恵建設代表の兵恵慎治です。
「初穂料(はつほりょう)」という言葉があります。
神社でご祈祷やお祓い、お守りや御札を受ける際に納めるお金のことですが、
もともとはその年に実った稲穂を、最初に神様へお供えする「お初穂」が由来のようです。
水田稲作を中心に暮らしていた昔の人々は、
「今年もこうして稲が実ったのは、神様のおかげです」
という感謝の気持ちを込めて、収穫した稲穂を神様に奉っていました。
時代が移り、暮らし方が変わる中で、実際の稲穂の代わりに
金銭でその気持ちを表すようになり、「初穂料」という形になっていったようです。
今も神社で初穂料を納める習慣が残っているのは
単なる形式ではなく、感謝の心を大切にしてきた
日本人の価値観が受け継がれているからなのだと思います。
こうした目に見えない想いは、建築にも表れています。
家づくりをしていると、昔から受け継がれてきた
日本人の考え方や美意識に触れる場面がたくさんあります。
今日は、日本の住まいや暮らしに込められた想いについて
少しお話ししたいと思います。
たとえば、床の間の下がり壁の裏側などを見ると、
表からは綺麗に仕上げられていても、裏側はあえて下地のまま残されていることがあります。
一見すると施工忘れのようにも見えるのですが、実はこれも単なる未施工ではなく、意図を持って残された「未完成」の美意識だといわれています。
「家は未完成である」
つまり、まだこれから発展していく、繁栄していく余地を残している。
そんな願いや縁起を込めて、あえてすべてを
完成させないという考え方が、日本の伝統的な建築にはあったようです。
表から見える部分はきちんと美しく仕上げる。
けれど、あえてどこかに余白を残す。
そこには、完成しきったものよりも、これから先の伸びしろや未来への願いを大切にする、
粋な感覚が感じられます。
家づくりは、単に形を整えることではなく、そこに住まう人の幸せや、これからの繁栄を願うことでもあります。
昔の人が大切にしてきたこうした考え方に触れると、住まいとは本当に奥深いものだなと感じます。
この記事を書いた人
社員一丸となり心を込めて仕上げた住宅を、自信を持ってお渡しします。何でもアドバイスいたしますのでお気軽にご相談ください。お客さまのご要望に柔軟に対応し、より喜んでいただけるように頑張ります。