住宅の換気
コロナ禍時には換気の重要性がとり沙汰されました。
窓を開けての換気は建築基準法で居室の床面積の1/20の有効開口面積が定められています。
これとは別に住宅の機械換気方式は第1種、第3種が採用されます。一般には換気扇と自然給気口からなる第3種換気が多く、第1種換気は給気と排気を機械で行う方式で同時に熱交換を行うものが近年増えつつあります。レンジフードや浴室換気などの一時的に使う局所換気は24時間換気には含みません。
以外かもしれませんが換気には住宅の気密性が大切です。気密性が低い隙間の多い住宅ではサッシや壁や屋根の隙間から外気が入り込みショートサーキットを起こして有効な換気が出来ません。
2003年の建築基準法改正でシックハウス防止対策として、住宅の居室には換気回数 0.5 回/h 以上の24時間換気が原則的に義務付けられました。この換気回数 0.5 回/h は、1時間で部屋容積半分の空気が入れ替り、2時間で部屋容積のすべての空気が入れ替わるということになります。
まる1日で考えるとお家の空気が12回替わることになりますから、新鮮外気で満たされることになりますが、個人的にはこの換気回数 0.5 回/hは大きすぎる定数だと思っています。
これを30坪(約100㎡)の住宅(単純にすべて居室として)で、天井高さが2.4mでは、
居室の容積が 100㎡ x2.4m = 240㎥ 因みにこの住宅の表面積は 約240㎡
1時間当たりの必要換気量は 240㎥ x 0.5回/h=120㎥/h。24時間ではこれの24倍で2,880㎥ 結構な換気量となります。60㎥/hの換気扇2台の運転量です。
1日の換気量
住宅の表面積
伝導による熱の出入り
岡山県北部の5地域でG1レベルのUA値0.48W/㎡K。これは温度差1℃で屋根、壁、窓、床のトータル1㎡、1時間あたり0.48W の熱が伝導で出入りするもの。
この住宅で外気が10℃、室内が20℃、内外温度差10℃、住宅の表面積約240㎡ですと
240㎡ ×0.48W/㎡K × 10K(℃)=1,152W の熱が出入りします。
キッチンのオーブントースターを600Wで1時間熱した熱の約2台分にあたります。
これが1時間ごとに出入りします。
対流による熱の出入り
次に第3種換気で排出する対流熱は、空気の熱定数0.35W/㎥K
0.35W/㎥K × 120㎥/h × 10K(℃)= 420W
伝導と対流の合計は 1,152W + 420W = 1,572W となり
600Wオーブントースター2.5台の熱が1時間当たり常時出入りすることになります。
伝導 : 対流 = 73% : 27%
換気による熱の出入りは
伝導によるものが約70%で断熱性能は大切なことがわかります。
一方、換気による対流では約30%になります。出来ればこの熱を回収したいものです。
熱交換を行う場合、約70~80%の熱を回収することが可能です。
※ダイキン カタログより
断熱、気密、換気は、省エネルギーで健康的な住宅が実現するための大切な要素です。
この記事を書いた人
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